「不変と革新」

富士紡HD

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新技術"紡ぎ出し"進化

さらに高品位なCMP(化学的機械的平坦化)研磨を目指している
富士紡ホールディングス(HD)の前身、富士紡績は明治政府が富国強兵や殖産興業を進めていた1896年(明29)の設立だ。創業から現在まで、技術で社会に貢献するとの姿勢を貫く。富士紡HDの中野光雄社長が07年に「私たちは、1世紀を超える歴史の中で培った技術と経験を生かし、つねに時代が求める新しい技術・製品を提供することで先端産業を支え、人・社会・地球にとってより豊かな未来の創造に貢献し続けます」と企業理念を制定。あらためて姿勢を明確にした。

大きな転換点

富士紡績の設立当初は、日清戦争後の不況もあり順風満帆ではなかった。成長軌道に乗せたのが大正期の"財界世話人"こと和田豊治氏だった。同氏の入社を機に大胆な改革を推進。紡績技術の確かさもあり、繊維産業が日本経済を支える存在となるのに従い、同社も成長を続けた。
 
大きな転換点は日本が高度経済成長をする中で迎えた。日米繊維交渉やオイルショック、プラザ合意後の円高といった大きな出来事が重なり、繊維事業の利益が急速に縮んだ。国内繊維メーカーは構造改革を迫られた。
 
同社が選んだのは非繊維事業へのシフトだ。中野光雄社長は「今から15年ほど前、繊維事業は売り上げ規模が大きくても利益を出すことが難しくなっていた。適正な利益を生む事業を立ち上げていかなければならないと、非繊維事業に力を入れていった」と振り返る。


技術への信頼

新規事業の立ち上げ、再検討を繰り返し、新しい会社の形を模索し続けた。ここでも支えになったのは自社の技術への信頼だ。他社に技術が劣っていては新市場に打ってでられない。「技術で産業界の発展に尽くす」との姿勢で続けた開発努力が、液晶パネルや半導体で使う研磨材や、ファインケミカル中間体を作る化学工業品といった現在の主力事業を育んだ。
 
研磨材に可能性を見出し強化に乗り出したのは富士紡績(当時)の産業資材部長だった中野社長自身だ。現在は発光ダイオード(LED)基板やパワー半導体の生産などに欠かせない化学的機械的平坦化(CMP)用途の研磨パッドなど、高品位研磨材が好調だ。

揺るがない

繊維事業での成功に加え、異なるビジネスを立ち上げ収益基盤を安定させた。中野社長が制定した企業理念は、創業118年で同社が紡ぎ、磨きあげてきたものを明文化したといえる。「歴史の中で培った技術と経験を生かし、つねに時代が求める新しい技術・製品を提供する」との表現はまさにそれだ。中野社長も「先端材料を供給し、皆さんが豊かになれば我々も豊かになると言う発想だと考えは揺るがない。

76年に米B.V.Dとライセンス契約を結び、メンズやレディースのインナーブランド「B.V.D」の展開を始めることで「フジボウ」ブランドは消費者にも身近になった。それでも、やはり主力は研磨材や化学品といった産業向けの製品。高付加価値素材メーカーとしてさらに進化を遂げようとしている。

企業概要

祖業の紡績からテキスタイル、アパレルへと発展した繊維事業から、研磨材事業、化学工業品事業と領域を拡大してきた。繊維事業では、高級下着メーカーであるアングルをグループ化し、百貨店向けなどにハイエンド商品の販路拡大も狙っている。化学工業品関連では、中間体の受託製造で業績を伸ばしている。
2020年のありたい姿として「有機材料技術で未来を拓く、高付加価値創造企業」を掲げ、売上高1000億円台、営業利益で100億円超を目標としている。


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