「不変と革新」

みょうばん湯の里

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江戸時代の製法守り伝える

湯の花は観光施設「湯の里」の湯の花小屋でつくられる

天然入浴剤

「受け継いだ歴史をつないでいく」。みょうばん湯の里の飯倉里美社長は語りかける。大分県別府市の明礬(みょうばん)温泉で、江戸時代から伝わる製法に基づいて、天然入浴剤として知られる湯の花を製造・販売する。創業は1725年(享保10)。飯倉社長は2006年に16代目として就任した。以来、湯の花を使った商品を次々に開発。商品のブランド力を高めて誘客を図り、温泉観光都市・別府の活性化を目指している。
 
「先人の知恵と意気込み、心を引き継ぎ、『湯の花』の技術・製品の素晴らしさを伝える」。これは飯倉社長自らがつくった企業理念。それまで同社には、理念を記録に残したものはなかった。だが先人の意思を心でつなぎ、職人を育てながら、289年間にわたって湯の花の製法を守り伝えてきた。
 
その製法は地中から噴出する温泉ガスを活用する。わらぶきの三角屋根の「湯の花小屋」の中で、温泉成分の結晶を1日約1ミリメートルずつじっくりと"育てる"という独特のもの。同社の歴史は地域の歴史そのもので、06年には国の「重要無形民俗文化財」、12年に明礬と鉄輪(かんなわ)温泉地区の湯けむりが「重要文化的景観」に選ばれた。
 
一方、品質の維持向上や環境配慮など現代の課題への取り組みにも余念なく、11年はISO9001、ISO14001の認証を取得した。


多角化進める

現在は湯の花を中心に、多様な時代のニーズに合わせて多角化を進める。湯の花配合化粧品を開発・販売し、湯の花小屋と温泉を併設した観光施設などを運営する。特に期待を寄せる化粧品は、湯の花の洗浄・殺菌・抗酸化作用に着目して全身ジェルなどを商品化。全国の催事場に出展して販路を広げている。
 
飯倉社長は言う。現在の成長があるのは「明礬温泉という地域の宝があってこそ」と。東日本大震災以降、国内外からの観光客は一時的に落ち込んだが、最近は徐々に増えてきている。それでも来場者数、全社売上高は震災前の7割程度にとどまっている。
 
こうした現状を打破するために、飯倉社長は従業員に企業理念を説く。「顧客ターゲットを見据えた企画力、時代を先取りして新しいものを造り出す創造力と新しい事実をつくる想像力をともに磨く、これが大切」と。
 
今後、もう一段の高みを目指すには「地域と企業が密接に結びつき、ともに発展することが重要」と考えている。地域資源を生かした事業展開で「お客さまから高い評価を得られるよう努めることが肝心と強調する。

新商品の開発加速

その実現に向け13年は国の「地域産業資源活用計画」に採択。湯の花を生かした新商品開発を加速させている。湯の花を液状やジェル状に加工し、多用途に応じる原料、商品を開発する。
 
飯倉社長の願いは先人の知恵に学び、先人の築いた歴史の上に新たな歴史を積み重ねていくこと。そして大輪の花を咲かせ次の世代へとバトンをつないでいく。

企業概要

1725年に創業。江戸時代に湯の花は薬や染料として知られていた。だが、1884年頃から海外製品に押され、入浴剤としての商品に切り替わっていく。77年に13代目が有限会社脇屋商会を設立。82年に飯倉里美社長の父である14代目が、湯の花の製造・販売を主に温泉やレストランなどを併設した「明礬 湯の里」をオープン。06年に16代目に飯倉社長が就任した。11年に明礬温泉をわかりやすい温泉地にするため商号を「みょうばん湯の里」へと変え、情報発信に力を注ぐ。


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