「不変と革新」

日本ルツボ

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開発方針は「たちつテト」

金属を溶解するために使われるるつぼの製造工程

顧客に満足

日本ルツボは2014年に創業129年を迎える。金属を溶解するために用いる耐火容器である「るつぼ」を社名に冠し、この間、鋳造・鉄鋼業界に貢献してきた。社是として掲げているのが「人に笑顔、仕事に挑戦、社員に安心、社会に貢献、顧客に満足、会社に利益」だ。この社是は岡田民雄会長が96年の社長就任時にまとめた。それまでは明文化されていなかった。
 
岡田会長が入社したのは60年。当時の日本は鉄鋼業が盛んで、製鉄所で用いる耐火物の需要が伸びていた。大手製鉄企業と協力し、鋳造技術を生かして新型の耐火物などを次々と開発した。社員は生き生きと活動し、社は業績を伸ばした。社是は岡田会長らが肌で感じていた社風、経営姿勢を表現している。
 
例えば「顧客に満足」。岡田会長は「真剣にユーザーニーズを知ろうと努力する。お客さまが求めている製品が当社にない場合、他社から仕入れたり、輸入したりしてでも提供したいと考えている」と言い切る。現在、売上高の6割は鋳造関連品が占める。耐火物やるつぼなどの既存事業の顧客を大切にすることで、経営基盤をしっかりと固める。
 
それが「会社に利益」にもなる。「利益はお客さまの満足度に対するサービス料。利益が多い企業はその分だけお客さまに満足を多く与えている。そして利益が出る企業体質にすることで社員が安心して働ける」。顧客と社員の笑顔にもつながる。


環境分野に力

日本ルツボは創業当時から研究開発型企業。これは今も変わらない。「新製品の開発」「新市場の開拓」「新事業の構築」は、仕事に挑戦という言葉に集約されている。産業構造の変化とともに新たな用途や新市場を探ってきた。近年は成長分野として「環境」に力を入れている。13年3月から豊田工場(愛知県豊田市)の粘土鉱山跡地を活用し太陽光発電の売電事業を始めた。
 
「私は文科系出身だが開発も手がけてきた。私が尊敬する小泉信三元慶応義塾長の言葉に『練習ハ不可能ヲ可能ニス』がある。これを『開発は不可能を可能にする』ととらえて社員にも言い続けている」と力強い。
 
鋳物は歩留まりが低い製品で、今はリサイクルや省エネが可能な製品の開発に取り組んでいる。09年に省エネルギー型縦溝付るつぼ「ゼブラックス」を開発した。表面に溝をつけることで熱効率を上げ同社比で8―12%燃費を節約できる。国内のアルミダイカスト・鋳物業界で採用が広がりつつある。

冷めない取鍋

今は魔法瓶のように中の溶解金属が冷めない取鍋の開発に取り組んでいる。取鍋は溶解した金属をすくい鋳型に流し込む容器。炭化ケイ素材の電熱式ヒーターで取鍋の温度を1000度C程度に加熱できる。
 
開発方針は「たちつテト」。「た」は体験、「ち」は知識や知恵、「つ」は続ける、「テ」はテスト、「ト」はトライだ。この五つの開発方針で、社員の中からアイデアが生まれ、新製品の開発につなげている。

企業概要

るつぼなどの耐火物メーカー。1885年(明18)に創業し、耐熱性の高い黒鉛るつぼの生産を始めた。その後、09年に「ゼブラックス」、11年に省エネルギー型るつぼ式アルミリサイクル炉「エコカバリー」などオリジナル製品を開発し、市場に投入した。1950年に東証2部上場。75年にドイツでの合弁会社設立を皮切りに中国やタイなど海外に生産拠点を設立し、グローバル展開している。正社員数は152人、14年3月期の売上高は78億円の見込み。


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