「不変と革新」

横河電機

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創業の精神が羅針盤に

創業の精神は今も息づいている(30年頃の東京・渋谷の社屋)

根底に3カ条

横河電機は祖業の電気計器から現在の主力のプラント向け制御システムまで、一貫して計測と制御を軸にした事業活動を続けてきた。その根底にあるのが、創業の精神として残されている3カ条「品質第一開拓者精神」「社会への貢献」だ。西島剛志社長は「歴代の社長が創立記念日などのスピーチで繰り返し引用してきた」と、常に社内への定着を図っている。
 
横河電機は建築家の横河民輔が1915年(大4)、電気計器の国産化を目指して設立した「電気計器研究所」から始まった。建築家として名声を得ていた横河民輔は、建築物の電力計が海外製だったため、国産化することを目標とし、2年後に実現させた。
 
横河民輔は創業メンバーの横河一郎と青木晋に「この仕事でもうけようなどと考える必要はない。それよりもまず、技術を覚え、技術を磨くことだ。横河電機の製品はさすがに良い、と言われるようにしてもらいたい」と伝えたとされる。「品質第一」はこの言葉に由来する。
 
計測から制御へ事業の軸足は徐々に移る。戦後、海外でプラントの操業を自動化する流れが起こる。55年に米フォックスボローと技術援助契約を結び、ノウハウを学ぶ。75年に統合制御システム「センタム」を発売。83年には同業の北辰電機製作所と合併し、制御システムメーカーとしてさらに成長する力を得た。


耳に入るように

88年には企業理念を制定。「YOKOGAWAは計測と制御と情報をテーマにより豊かな人間社会の実現に貢献する」「YOKOGAWA人は良き市民であり勇気を持った開拓者であれ」と定めた。西島社長は「額縁に入れただけの企業理念ではない。社員へのスピーチに盛り込むなど、耳に入るようにしている」と日々の業務の中で理念が具現化する工夫を続けている。
 
横河電機を語る上で欠かせないのが、海外売上比率の高さ。03年ごろを境に大きく伸びたが、そのきっかけとなったのが海外向けに打ち出したマーケティング戦略「ビジランス」だ。

海外でも存在感

海外では横河電機のブランドイメージが根付いていないと見て、英語で「寝ずの番」「見張り」を意味するビジランスをブランドに据えた。自社の長所である、顧客の要望に逃げずに取り組む実直さを込めた。西島社長は「海外の拠点を大いに勇気づけた」と効果を振り返る。これが功を奏したか、海外売上比率は02年度の35・4%が03年度は42・6%になった。その後もほぼ毎年上昇し、12年度には61・5%にまで高まった。
 
マーケティング戦略となると、経営理念とは一見関連性がないように思える。だが、ビジランス、続いて打ち出した「ビジラントプラント」は、プラント制御の高い技術・信頼性があって成り立っている。創業の精神の「品質第一」が息づいている。創業の精神がグローバルでの企業活動のための羅針盤になっていると言える。

企業概要

石油化学や液化天然ガス(LNG)プラントの操業をつかさどる制御システムや、プラントに張り巡らせたフィールド機器を製造する。同分野の世界の大手6社の一角に数えられる。最近では米国やロシアで大型受注に成功するなど、世界のエネルギー市場の拡大の波に乗っている。計測事業は半導体テスタービジネスの終息など不採算事業からの撤退による構造改革によって縮小したが、収益性は高まった。13年3月期の売上高は3478億円。制御事業がうち85%を占める。


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