「不変と革新」

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化学基盤で変化に適応

プラスチックゴミ容器「ポリベール」は東京五輪を機に全国で普及

東京五輪で普及

2020年東京五輪開催に沸く日本。積水化学工業の根岸修史社長は「東京五輪には深い思い入れがある」と話す。1964年に開かれた前回の東京五輪。飲食店の店舗裏などに置いてある青色のプラスチックゴミ容器「ポリベール」は街の景観を意識して、東京五輪を機に全国で普及した経緯がある。
 
日窒コンツェルンの樹脂部門を母体に47年、前身の「積水産業」が産声を上げた。この創業から67年が経過した現在、「100年経っても存在感を持ち続ける企業」を標榜する。多様な生物が存在する理由を解き明かしたチャールズ・ダーウィンの自然選択説を引き合いに、根岸社長は「変化に適応したものが強い」と同社が持ち続ける不断の変革の精神を強調する。


変化に合わせて

同社はセーラーのボールペン軸の射出成形事業から始め、「ポリバケツ」や発泡ポリエチレンシート製簀の子(すのこ)、樹脂製の上下水道配管や雨どいなどを世に送り出した。さらに多角化で70年代に「セキスイハイム」で知られる住宅事業に進出。また自動車向けガラス中間膜でも世界シェアの過半を握る。社会や産業の変化に合わせ、新たな市場を獲得し続けられたのは、変革を続けてきた証でもある。
 
さらに、コレステロール検査薬や検査機器、スマートフォンに使われる機能化学品なども育ててきた。雨どいやガラス強化樹脂(FRP)製の浴槽などの製品は同社が日本で初めて樹脂製に置き換えた。ただ、多角化、新事業の創出に積極的でも、あくまでも事業の基盤は化学にある。
 
13年末に試作したフィルム型のリチウムイオンバッテリーと色素増感太陽電池。曲げられるなどの機能面に加え、製造コストを大幅に下げられる見通しのこれら試作品には、テープやフィルムで培ってきた塗工に関する技術・ノウハウが詰まっている。こうした分野は素材メーカーが商業化を競っており、事業化スピードも要求されるが、化学の力で独自色を前面に出していく姿勢に変わりはない。
 
14年3月期の営業利益は過去最高の810億円となる見通し。消費増税前の駆け込み需要が発生した住宅市場。その後の冷え込みを見越して13年10月に住宅の新商品を投入するなどの戦略が奏功して、10月以降の落ち込みを抑えた。前回の消費増税時は、反動減の影響が大きく、業績が悪化した。今回は「同じ轍は二度と踏まない」と、駆け込み需要が発生する前から対策をとってきた。

補修需要に着目

20年の東京五輪までに生まれる需要は新築の建築物に限らない。着目するのはむしろ上下水道や橋、高速道路などのインフラの老朽化に対する補修需要だ。「資材を作って売るだけの事業モデルでは対応が遅れる」と根岸社長は危機感を抱く。診断から施工、保守までのバリューチェーンを一括で提供するモデルが必要と見ている。また大きな変革を遂げようとしている。

企業概要

14年3月期の売上高は1兆1000億円の見通し。前年度比約36%増となる営業利益810億円のほか、経常利益と当期利益も過去最高を更新する見込みだ。工場で事前に設備に組み付けるユニット工法が特徴の「セキスイハイム」で知られる「住宅」、管材や住宅資材の製造販売や管路更生などを含む「環境・ライフライン」、自動車や液晶ディスプレーに使われる機能化学品や検査薬事業などで構成する「高機能プラスチック」の3カンパニー制を01年から採用している。


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