「不変と革新」

菊地歯車

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協力会社と「発展調和」

技能士が多く在籍、多品種少量のモノづくりを手がける

創業70年超

菊地歯車は創業70年を超え、自動車や建設機械、航空機関連の歯車を生産する。社是「発展調和」は菊地義治会長が1967年、30歳の時にまとめたものだ。
 
きっかけは、菊地会長が事業を発展させるにはどうすればよいのかを模索していた時に近所の人から受けた「正力松太郎は無欲を貫き、大きな仕事を成し遂げた」というアドバイスだった。しかし「自分が無欲の人になれる自信はない。周囲の人々も多かれ少なかれ欲を持っている」(菊地会長)。「欲がある者どうしが良い関係を築くには、それぞれにメリットがある状況にすることが必要」との思いに至り、バランスが取れた発展を目指し、社是として「発展調和」を掲げることにした。事業を進めていくなかで「自社にばかり綱を引くやり方ではうまくいかない。また、あまりに自らの利益ばかり追求する企業や人とは付き合わないようにしている。自分が少し遠慮するくらいが、ちょうど良いバランスなのだと思う」と菊地会長は実感したという。
 
続いて菊地会長は自らの考えを社員に分かりやすく伝えるため、「我が社に集まる人は、皆幸福に成らなければならない」で始まる5か条の経営理念を作った。05年に35歳で菊地会長から社長職を受け継いだ菊地義典社長は「重い内容を背負わされている」と理念の意味をかみしめる。「我が社は、歯車および関連製品を製造し、社会の進歩に貢献する」「我が社は、顧客にとって価値のある会社でなければならない」といった経営理念を実現するためにも、人材育成には力を入れている。ホブ盤作業1級技能士約40人をはじめ、旋盤や機械検査などの分野で資格認定者が多く在籍している。歯車生産部門に限れば、社員の4分の3以上が1級技能士だ。


リスク分散

現在、モノづくりを取り巻く環境は厳しい。「簡易な部品を量産し、同じ仕事を回していけたら楽だが、そういう仕事は国内には残らない」と菊地社長は語る。そうした状況で発展を続けて行くにはどうすれば良いか―。同社が導き出した答えは「リスク分散」と「新しい事業への挑戦」の2本柱だ。取引先への売上高依存度は1社当たり15%以内に抑え、業種も自動車、建設機械、印刷などと分散させている。
 
最近、成長分野として力を入れるのが航空機だ。13年6月期は売り上げの8・7%を航空機関連が占めており、「目標の10%に近づいている」と手応えを感じている。09年には航空・宇宙産業の品質マネジメント規格「JISQ9100」を取得。英国やフランス、シンガポールなど海外の展示会にも積極的に出展したり足を運んだりしながら、受注の機会をうかがってきた。「引き合いは出てきている。航空機関連の事業は安定的でスパンが長い。案件を取るため、情報発信を続けていく」と意気込む。航空機部品向けの高精度加工を手がけるため、13年には第6工場を稼働した。

海外には出ない

「当社は海外には進出しない」と菊地社長は言い切る。同社の強みは今まで培ってきた、約140ある協力会社とのネットワークにあるとの考えからだ。「当社単独では成り立たない」(菊地社長)製品づくりを続ける中で、同社が大切にしてきた"調和"の結果ともいえる。

企業概要

1940年(昭15)に菊地社長の祖父である菊地元治氏が栃木県足利市で歯車生産を開始。43年に元治氏が戦死後は祖母の喜美氏が跡を継いだ。59年に父の義治氏が社長に就任。69年に同社を株式会社化した。本社工場では同社のルーツである歯切りなどを手がけており、時代に応じて研磨工場や組立工場、24時間稼働する量産工場などを増設してきた。現在は足利鉄工団地内に6工場を持つ。社員数は140人、13年6月期の売上高は33億1100万円。


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