「不変と革新」

東郷製作所

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「昨日よりもよい品」実践

自動車用バネに参入し繁忙をきわめた(昭和30年代)

創業130余年

東郷製作所はトヨタ自動車を主要取引先とする自動車用小物バネメーカー。創業130余年、転業を経て長く続けてこられた秘訣(ひけつ)について、5代目の相羽繁生社長は「その時々に新しいものを開発できた」と振り返る。昭和時代に入ってから明文化した社是「昨日よりもよい品で社会に奉仕する」の実践が東郷製作所の発展を支えてきた。
 
創業は1881年(明14)。「出鍛冶」の農機具修理工として活躍していた初代が現在の愛知県東郷町で、鍬(くわ)などの農具をつくり始めたのが始まり。大正時代に入り、3代目の時には脱穀機を開発してヒット商品となった。当時の社名は「トーゴー農具製作所」で完全に農機具メーカーだった。
 
転機は昭和初期の世界恐慌と農産物の価格が急落した農業恐慌。仕事は激減し、早晩立ち行かなくなるのは必至だった。そんな中でも貫いたのが経営指針の一つ「人間尊重」。従業員を大切にすることだ。当時、雇用を守るため「絞り染めの受託などいろいろ試した」(相羽社長)。
 
なんとかしのいでいる中で、脱穀機に使われるピアノ線がバネ材料になることに着目。トヨタ系バネメーカーの中央発條から技術指導を受けて1940年にバネの製造を始めた。バネメーカーへの転業を果たし、今ではトヨタとの直接取引もしている。「従業員を1人たりとも切らずに、厳しい時を乗り越えた」(同)。


車部品で成長

その後、現在の主力である板バネ式ホースクランプや、樹脂バネなどを次々に開発しながら自動車部品メーカーとして成長した。98年に相羽社長が就任してから特に力を入れたのは海外生産の強化。それまで米国工場のみだったが02年にタイ、03年にドイツに立て続けに進出。14年には中国で工場を稼働する。
 
海外展開のベースにあるのは「日本の仕事を守るために海外に出る」(同)という考え。例えば主力商品でも海外進出しないと現地で競合に負けてしまう場合は、「競合に絶対とられてはいけない」(同)と海外進出する。一方で、コスト削減を目的に海外工場からの製品輸入は、一切したことがない。
 
今後の課題は「次の事業の柱をどう見つけるか」(同)。ハイブリッド車(HV)など電動車両向け電子関連部品は、その候補の一つだが「まだ柱になりきれていない」(同)のが現状だ。また長期的には国内での自動車生産台数が減少する中で雇用をどう吸収するかも重要。そのため車以外の業界の事業も「いくつか考えている」(同)と将来に向けて種をまく。

常に変える

「常に変えるという意識を持とう」。相羽社長は最近、従業員に対して強く訴えている。社是の通り「昨日よりもよい品」を生み出すことで危機を乗り越え成長してきた同社。しかし歴史が長くなるほど「変えようとしなくなる」(同)という。相羽社長は持続成長のために、よりよい品を求める意識を全社に植え付ける努力を続ける。

企業概要

1881年創業の自動車用小物バネメーカー。ンジンや自動変速機(AT)、ブレーキなどに使われるコイル状バネのほか、締結部品の板バネ式ホースクランプなどを手がける。トヨタ自動車や系列部品メーカー向けが売上高の約70%を占める。車用小物バネでは「東のニッパツ、西の東郷」とも言われる存在。2012年12月期の単体売上高は350億円。正社員は800人。米国、タイ、ドイツの工場を含む世界全体では売上高400億円、従業員は1500人程度。


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