「不変と革新」

セラリカNODA

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信頼蓄積、ブランド向上

中国ではカイガラムシがつく樹木の植林も進める

豊かなロウ

「『セラ』はスペイン語で『豊かな』という意。『リカ』はロウのこと。生物由来の『豊かなロウ』を社名に掲げている」と野田泰三セラリカNODA社長は自社の事業を表す社名を簡潔に説明する。1832年(天保3)創業の同社は2012年180年目を迎えた。同社の歴史は一貫して天然素材を活用したロウづくりとともにあり、その未来はロウを新しい用途や環境問題解決にまでつなげようという「セラリカ構想」に発展する。
 
野田社長は100年経営の会(事務局=日刊工業新聞社)のメンバーで、同会が長寿企業の経営理念などを理論化するために定期的に開く勉強会で講師を務めた。この時、大学時代に当時の社長である父親が急逝した後、経営は母親が継承したが、自身も思ってもみなかった家業を引き継ぐことになった経緯について振り返った。社長を引き継いで今年で25年。日本に創業100年以上の長寿企業が世界的にも数多く、長きにわたる成長を持続可能にするには何が必要か、といったことについて思いをはせることも多いという。


"真製品"開発

同社の事業にもロウの製造という柱が180年貫かれているものの、その用途や事業としての拡大については常に変化が伴っている。ロウは江戸、明治時代とびん付け油などに使われ、昭和期にはポマードの原料となるなどして売り上げも飛躍的に伸びた。その後、プリンターのトナー原料といったハイテク関連、食品にツヤを出すコーティング用など用途は着実に広がっている。3Dプリンターの造形材料としての研究も進めている。同社の開発陣がさまざまなメーカー、研究機関と連携することで、同社の製品が使われる分野を押し広げている格好だ。
 
根底にあるのは「天然物の長所を生かすために、機能だけでなく、製品そのものに愛情を注いできた」(野田社長)という視点だ。現在もカイガラムシから分泌される物質を原料に「雪ロウ」を製造し新たな用途・製品に用いるプロジェクトが、国際協力機構(JICA)、中国の研究機関と共同で進んでいる。こうした製品を野田社長は「新」でなく「真製品」と呼ぶ。
 
これがセラリカ構想の一例で、ロウの原料物質を得るために、中国での植林を同社が率先して行っている。また中国政府にも産業としての可能性と、環境への貢献を訴え続けている。野田社長はロウの原料調達のためなどに世界各地を訪れてきたが、中国の森林破壊の進行に大きな危ぐを抱いている。同国だけでなく毎年ロウが採取できる樹木を増やすことで、いわゆる貧困地域の産業育成にもつながるとみて、アジア各国や中南米など各地でプロジェクトを地道に始めているところだ。

老舗そのもの

こうした世界への貢献について野田社長は「自分中心ではない日本人がやるべきことだろう。日本人はおひとよしで、それは弱点かもしれないが、長所にもなるはず」と語る。もちろん野田社長ひとりの考えではなく、同社社員の共通した認識として会社全体でセラリカ構想に取り組む姿勢は「日本の老舗企業」らしさそのものだ。

企業概要

江戸後期・天保年間に有馬藩(現在の福岡県筑後地区)に木ロウを納入するため、野田家八代目野田常太郎が野田製蝋(ろう)を現在の福岡県八女市で創業。戦前は八女の代表的輸出産業に。1970年(昭45)、「愛の重なる町」(野田社長)の神奈川県愛甲郡愛川町に本社工場を移転。85年日本貿易協会(当時)の動植物ロウ輸入プロジェクトに参画し原産地を視察。90年からセラリカ構想を提唱し、95年現社名に変更。「セラリカ」による「生物産業」を提唱している。


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