「不変と革新」

マルサンアイ

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"大豆"の可能性に挑戦

みそと豆乳の2本柱で成長

"後発意識"

創業62年だが「みそメーカーでは新参者」と伊藤明徳社長は謙そんする。地元の愛知県岡崎市には江戸時代から続く八丁味噌など100年企業が珍しくない。この後発意識が「とにかく新しいことに挑戦する」(伊藤社長)社風を醸成した。経営の2本柱はみそ事業と豆乳事業。それぞれに挑戦の物語がある。
 
今では一般的に使う「合わせみそ」。実はマルサンアイの登録商標だ。みそは豆みそや米みそ、麦みそなど、昔から地域に根付いており「混ぜ合わせるのは邪道」とされていた。同社は業界のタブーを破り、1964年に豆みそと米みそを合わせた「ミックスみそ」を発売。コクとうまみが融合した商品としてヒットし、経営の基盤固めに貢献した。
 
今ではみそは混ぜ合わせた方がおいしくなるというのが定説。しかも「遠い地域のみそを合わせた方が、互いにない部分を補い合う」(同)という。このほか、ロングセラー商品の「純正こうじみそ」や、だしなど調味料が入った「だし入り」タイプも同社が業界で初めて商品化した。
 
経営の大きな転機となったのが、73年の豆乳事業への参入だ。みそ需要は冬に偏るため、夏に売れる商品として同じ大豆を原料とする豆乳に注目した。80年に本社敷地内に豆乳工場を建設。健康志向も後押しし、83年に第1次豆乳ブームが巻き起こった。

豆乳ブーム終息

ただ、当時の豆乳は味の評価がわかれた。健康意識の強い消費者以外に浸透せずブームは数年で終息。需要はピーク時の約5分の1に激減し「完成したばかりの新工場は作るものがなく、他社製品でもなりふり構わず生産した」(同)と冬の時代を振り返る。
 
第2次ブームは2000年代初頭。米食品医薬品局(FDA)が大豆に心臓病予防表示を許可したことに市場が反応した。さらに乳業会社の不祥事や牛海綿状脳症(BSE)問題で、牛乳のわりに飲む人が急増した。豆乳市場は当時、前年比30%以上の勢いで伸び続けた。

第3次の追い風

やがて問題は沈静化し豆乳の成長も一段落したが、今また第3次といえる追い風が吹いている。12年の豆乳市場は25万5000トンで過去最高。13年はさらにこれを更新することが確実視される。
 
最大の要因は商品力の向上。同社は製法開発で飲みやすく仕上げ、コーヒー味やフルーツ味など多彩な味をそろえた。パッケージも「いかにも健康という感じからおしゃれなデザインに変更した(同)のが功を奏した。
 
「大豆は体にいいと昔から言われている。それをどう実証し、消費者においしく飲んでもらえるかが重要」(同)と言い切る。料理やデザートにも幅広く使われるようになり、豆乳は約30年をかけて飲料の1カテゴリーを築いたと言える。
 
新規事業の種まきにも余念がない。次に注目するアーモンド飲料は乳成分不使用、低カロリーでビタミンEが豊富。提携先の米国企業から原料を買い入れ、9月に紅茶味など四つの味で発売した。

「100年目も大豆でありたい」(同)。100年企業に向かい大豆の可能性に挑戦し続ける。

企業概要

2012年9月期の売上高は約210億円。今では売上高の約7割を豆乳事業が占める。社名のマルサンアイの「アイ」は誕生の地である愛知県の愛、愛情の愛、そしてインターナショナルの頭文字のiからとった。初代社長の時代からすでに目は海外へ向いていた。1980年代に米国に合弁工場を建設し、現在は北米やアジアでみそや豆乳を販売する。今後、注目するのは人口が増えていく中国やインド、アフリカなど。東南アジアに生産拠点の建設も検討している。


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