「不変と革新」

昭和丸筒

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ニーズ先取り商品を

炭素繊維用紙管(右)とプリプレグ用紙管
昭和丸筒(大阪府東大阪市、岩本泰典社長、072・981・4066)は紙管、紙器、プラスチックコア(巻き芯)、樹脂製包装材などの製造を手がける。10月に創業90年を迎える同社は、自社の存在意義、社是、経営姿勢、行動規範をまとめ、これを「昭和モットー」と呼んでいる。社員は昭和モットーをカードにして常時、携帯している。

昭和モットー

昭和モットーは存在意義と社是のほかに六つの経営姿勢と七つの行動規範を掲げている。そのなかで、岩本泰典社長がとくに重視するのは「マーケットのニーズを先取りした独創的な商品開発を行う」という経営姿勢。同社は創業から間もない1930年に、四角形の紙箱だった乾電池の筐体(きょうたい)を円筒型の紙管で製造した。電池メーカーから打診されたのか、自社から提案したのか経緯は定かでないという。ただ、同社は紙管製造用の平巻き機を他社に先駆けて導入するなど、当時から市場ニーズを先取りする姿勢があった。
 
その後も、高精度な糸取り溝をつけた繊維巻き取り用紙管や磁気テープ用紙管などを開発し、繊維産業や電機産業の発展を支えてきた。先端素材である炭素繊維とそれに樹脂を含浸させたプリプレグの巻き取り用紙管も素材の研究開発段階から供給を続けている。こうした素材産業の上流に関わっていることも同社が市場ニーズを先取りするのに役立っている。

和を大切に

岩本社長は市場ニーズを先取りできる理由について「和を大切にしているから」と説明する。社内の意思疎通が良く、開発や試作の提案を妨げる壁がないことが、積極的な新製品開発につながるという。また、こうした企業風土が「社内の雰囲気としてしみついている」ため、岩本社長は「社員の仲が良いのは良いが、厳しさも必要」と、社員の気を引き締めることもあるという。
 
昭和モットーでも冒頭で、会社は社員と家族の生活の源であり、社員と社長が一致協力し「和」をもってその繁栄を目指すと記し、「和の繁栄」を社是としている。
 
業務外では社員旅行、ボウリング大会、バーベキュー大会などを毎年催し、ゴルフ、園芸、ワンダーフォーゲルなどのクラブ活動も活発という。岩本社長自身も従業員の配偶者の誕生日が来ると、手書きのバースデイカードを書いてプレゼントを贈るなど、社員の「和」を醸成する土壌がある。

新事業始まる

しかし、社員の「和」によって進取の風土を根付かせてきた同社も「近年は製品やその用途の移り変わりが激しいため、前もって新しいモノを開発しておくことも必要」(岩本社長)という。そこで11年から本社内に「事業推進部」を新設した。
 
営業担当者以外の視点から市場ニーズを見て新しい事業を立ち上げるのを目的に3人を配置し、紙パレットなどの新事業も始まっている。
 
今後は紙・樹脂製のパッケージ商品を基本に派生する新製品を生み出したい考えだ。炭素繊維やフィルムといった素材産業の成長に期待する。こうした市場動向を見極めながら、ニーズの先取りを貫いていく。

企業概要

昭和丸筒は紙管、紙器、プラスチックコア、樹脂製包装材などを製造する。紙管には繊維やフィルムといった素材の巻き芯のほか、食品や樹脂などを入れる包装材の用途もある。精密な内径寸法を出しやすく、軽量で環境負荷も低い。自社製の生産設備を使い、素材応じた表面形状、精度などを細かく作りこめるのが強みで、13年5月期(グループ会社は7月期)のグループ連結売上高は約125億円。9月から紙製パレットの新規事業を開始し、3年後には同150億円を目指す。


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