「不変と革新」

セーレン

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自主性・責任感・使命感

全社改善活動発表大会での川田氏(12年12月15日)
自主性の「のびのび」、責任感の「いきいき」、使命感の「ぴちぴち」。セーレンが現在掲げる経営理念は、一度覚えると忘れない。それぞれ自主性、責任感、使命感と意味が込められている。
 
同社は1889年(明22)に繊維の委託加工会社として創業。今や自動車などの産業資材からエレクトロニクス、メディカルまで事業を多角化させた。同社の120年を超える歴史は、多様な繊維技術を生み出してきた歴史でもある。
 
現在の経営理念の考案に携わったのが川田達男会長兼社長であり、セーレンが事業を多角化するのにも強くかかわった。

5ゲン主義

川田氏は繊維産業の隆盛期でもある62年に大学卒業後、Uターン就職で福井精練加工(現セーレン)に入社した。数少ない大卒で、幹部候補の1人だった。ただ、入社から半年間の研修で「自分たちでモノを企画・開発する会社ではない」と考え、改革すべきだと業務日誌で意見を訴えた。これが社内で問題視され、異例の工場勤務に配属される。5年間の工場勤務で川田氏は、会社において付加価値を作るのは現場であることを学ぶ。この時の考えが、後に同社の「5ゲン主義(原理、原則、現場、現物、現実)につながっていく。
 
67年には大阪で営業担当に配属。ところが、この仕事は工場と顧客をつなぐ"使者"にすぎないと上司に訴えたところ、今度は「製品開発担当」に配属された。ここで、川田氏はこれまでの衣料のみの繊維用途を非衣料分野に応用した。自動車向け産業資材の開発も、その中の一つだった。

分かりやすい目標

川田氏が社長就任する87年には、こうした新ビジネスが、全社の売上高の4割以上を占めるまでになっていた。これは衣料向けビジネスが限界に近づいている証でもあった。現在の経営理念はこうした中で生まれた。「事業を多様化する中でも繊維産業というスタンスは変えられない。そうした中で全社員が共有できる、分かりやすい目標が必要だった」と理念に込めた考えを明かす。

自立型企業へ

受託型企業から自社製品を開発、製造する自立型企業への転換を推し進めた川田氏だが、繊維産業の企業であることは否定したことはない。技術力をベースに顧客や社会に貢献する姿勢は変わらない。現在でも「目指すはグッドカンパニー」として、株主、顧客、社員、地域社会にとってよい会社を志向する。これを支えるのが「自主性」「責任感」「使命感」の理念だ。
 
また、社長就任から1年が経過した88年。「社員と、できるだけ夢を共有したい」と五つの経営戦略を打ち出した。「IT化」「流通のダイレクト化」「非衣料・非繊維化」「グローバル化」「企業体質の変革」と革新の方向を示している。
 
変化を取り入れながらも、繊維で培ったノウハウを応用する姿勢にブレはない。川田氏は「人と過去は変えられない。ただ、自分と未来は変えられる」という。過去から受け継いだもの生かし、未来への道筋を紡ぎ出していく。

企業概要

2013年3月期の売上高は903億円、営業利益は38億円。現在は自動車の内装材やエアバッグなど「車輌資材事業」が主力に育っている。
 
繊維ビジネスではイラストや写真などのデータを布地にダイレクトに表現する独自システム「ビスコテックス」を持つ。旧カネボウの繊維事業を継承し、原糸メーカーとしての機能を確保した。リスクも高かったが、事業所の集約を進めて再建に成功。糸から織り、加工、縫製までの一貫生産体制を整えた。


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