「不変と革新」

牧野フライス製作所

HOME > 「不変と革新」 > 牧野フライス製作所

顧客に寄り添い品質追求

1970年ごろの汎用フライス盤の組立工場

創業76年の歴史

大手工作機械メーカーの一角として創業76年の歴史を持つ牧野フライス製作所。創業当初から脈々と受け継がれてきた理念の一つが「クオリティー・ファースト(品質第一)」だ。

今でこそ日本の工作機械は、世界トップレベルの品質と技術を誇る。ただ、同社の創業期である戦中から終戦直後は欧米製の工作機械が主流。日本製品は「安かろう、悪かろう」との評判が一般的だった。創業者である牧野常造氏の長男で、現在同社を率いる牧野二郎社長は「欧米の品質に匹敵する工作機械を1機種でも多くつくる、という意欲の表れだったのだろう」と、創業者がクオリティー・ファーストという言葉に込めた思いを代弁する。
 
カメラ業界向けの立型フライス盤の拡販で、敗戦による需要低迷から浮上するきっかけを得た同社。1958年(昭33)には富士通信機製造(現富士通)と共同で国産初の数値制御(NC)フライス盤の開発に成功し、その後のNC工作機械隆盛への道を切り開いた。
 
日本の工作機械生産高は82年に米国を抜いて世界トップとなり、その後27年間首位を堅持した。08年秋のリーマン・ショックを境に、生産高首位の座は中国に明け渡したが、品質や技術面では日本勢が依然、世界トップの水準に位置する。マラソンに例えるなら、かつては日本勢が欧米勢の背中を追いかける構造だったが、今は日本が先頭集団をけん引し、韓国、台湾、中国などの新興メーカーの追い上げに対抗する展開となっている。

自分で決める

牧野社長は「クオリティー・ファーストという言葉は変わらないが、クオリティーの持つ意味合いは創業当時と現在では大きく変わった」と指摘する。当時と違って欧米勢という明確な品質目標が存在しない今、「顧客とのやりとりの中で自分で決めるもの。それが品質だ」と説明する。
 
技術革新においても顧客との接点を重視する姿勢は変わらない。「技術者自ら顧客の製造現場に足を運び、加工内容をみせてもらう中で課題を見つけ出し、解決策を用意する。工作機械メーカーの革新はそこからスタートしなければならない」と牧野社長は強調する。

専門店型が理想

工作機械は機種や技術レベルが多種多様で、ユーザーの使い方も各社で千差万別。牧野社長は「全ての顧客ニーズを満たそうと思うと、すべての顧客が不満足になる」とし、得意分野に集中した専門店型の経営が理想と説く。創業者も「工作機械の経営は本質的に大きくはなり得ない」との言葉をのこしている。
 
一方で顧客は日本国内にとどまらず世界全体に拡大。しかも、かつては先進国・大都市の限られた地域に顧客が集中していたが、今は新興国・地方への分散が進む。世界中に立地する顧客に充実したサービスを提供するためには、ある程度大きな組織と経営規模が必要になる。
 
こうした相矛盾する要素をどう乗り越えていくか。「当社に限らず、工作機械業界全体のこれからの課題だ」と牧野社長は話す。

企業概要

1937年に牧野常造氏が立型フライス盤の専門メーカーとして牧野商店製作部を創業。年に牧野竪フライス製作所に改称し、51年に株式会社に改組。61年に牧野フライス製作所に改称し現在に至る。現在はマシニングセンター(MC)と放電加工機が主力製品。国内生産拠点は厚木事業所(神奈川県)と富士勝山事業所(山梨県)の2カ所。海外はシンガポール、中国、インドなどに生産拠点を持つ。2013年3月期連結決算は売上高1268億円、経常利益76億円。


ページの上へ