「不変と革新」

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一貫加工で生き残り

川田会長兼社長が100年経営の会
シンポジウムに登壇
持続的成長を目指す経営を研究する「100年経営の会」シンポジウムがこのほど都内で開かれ、講演者の一人、川田達男セーレン会長兼社長の語る「企業は変われるか」という経営論に、来場者は熱心に聞き入った。

 

斜陽産業を脱却

セーレンは1889年(明22)に創業。1923年(大12)に設立した福井精練加工の社名が示すように精練や染色といった事業で1960年代までは成長してきた。しかし70年代以降、繊維産業は斜陽化の道を進む。売り上げの伸び悩みを資産の売却などによってしのぎつつも、創業100年目前の80年代後半には深刻な状況に直面していた。87年に最年少役員から抜てきされた川田社長が、生き残りをかけた改革に着手する。
 
まず「変える」「変わる」ことを、企業革命の原点に位置づけた。従来の延長では生き残れないとみて、斜陽産業からの脱却にはむしろ非常識を必要とした。「セーレンの99年の常識を全部捨てよう」(川田会長兼社長)という考えだ。

2年間で黒字化

88年には経営戦略を策定。「ビジネスモデルの転換」「非衣料・非繊維化」「IT化」「グローバル化」「企業体質の変革」といった5項目を掲げた。それまで繊維産業は企画から原糸製造、編立、染色、縫製といった製造工程などすべての工程ごとに業界が異なっており、同社も衣料の染色加工業に特化した、いわば下請けにとどまっていた。この「オールドビジネス」を、企画から製造、販売までを手掛ける一貫生産体制の構築で打破しようと考えた。
 
すべての工程の内製化や、IT化、流通のダイレクト化に挑戦してきたが、ネックとなったのが大規模な設備投資も必要となる原糸の製造工程の部分。そうした折に経営破たんしたカネボウ(当時)の繊維事業を継承することになる。
 
カネボウの3事業所を買収して従業員も引き継ぎ、2005年には継承子会社・KBセーレンが営業開始。セーレンの目指す一貫加工に原糸製造を組み込んだことにより、2年間で黒字化した。

社員と夢を共有

川田会長兼社長はこうした生き残りをかけた企業体質の改革は「社員が夢を共有するために話し合ったため」実現したと振り返る。87年当時2500人近かった社員の声を集約したところ、それまで下を向いて仕事をしていた面もあったがこれからは上を向きたい、夢を共有したいという意識が芽生えた。以来25年間、変革に向けた挑戦が続いている。
一方で変えてはならないコア・コンピタンスも守り続ける。現在は自動車内装材やインテリア、電磁波シールド材といったエレクトロニクス分野、バイオメディカルなど多方面に事業を拡大しているが、すべては繊維の技術の延長線上にあるものだ。また、地元福井県での採用に力を入れるなど、地域社会との密接なつながりを忘れないことも、地域を代表する同社の特徴だ。


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