「不変と革新」

新東工業

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顧客と密着 国内重視

豊川製作所内の商品体感センター

「この鋳物の町、川口には活力がみなぎっている。皆さんの懐にしっかり飛び込みます」。鋳造・表面処理設備メーカー、新東工業の永井淳社長は、都内に置いていた東京支店を8月に埼玉県川口市に移転し、あいさつ回りでこうアピールした。

11カ国に21拠点

現在、海外11カ国に21拠点を置いている。11月中にはインドに合弁会社を設立する予定。これらは現地進出企業からの要請、日系ユーザーの海外展開に応えたものだ。一方、国内の顧客からは「海外ばかり向いている」との指摘もあった。
 
国内は大型設備の新規投資が減少傾向にあるものの、アフターサービス需要は底堅い。点検、部品交換で地道に顧客と接することにより、更新にもつながる。「地域一番の営業体制を敷く」(永井社長)。実は4月に仙台営業所も開設している。これに続く東京支店の移転は国内重視の宣言でもある。
 
関東大震災直後の1923年(大12)に創業し、34年(昭9)に法人化した。「鋳造工場の近代化こそ国の産業基盤を確立する」が信条。第2次世界大戦中、戦後の混乱期を経て50年ごろに事業基盤となる国産の鋳造プラント、表面処理用ショットブラスト設備を開発した。
 
鋳砂を真空吸引して鋳型をつくる「Vプロセス」、無振動・低騒音を実現した「静圧造型」などの新技術で、世界の鋳造関係者に知られる存在に成長した。生産性向上や省人化、環境性改善を通じ、自動車や工作機械、電機などの製造業の発展を下支えしてきた。

教育施設を開設

4月に主力の豊川製作所(愛知県豊川市)に教育施設「商品体感センター」を開設した。実機を約50点配置し、操作しながら基本原理や商品知識を体得する環境を整えた。
 
各種設備は受注生産が主体のため、担当者が実機を操作できる機会が少なかった。また海外拠点では知識レベルにバラつきがあった。
 
これらの課題を解消。永井社長は「説明能力を向上するとともに、技術の新展開を追究する場にもする」と強調する。国内外の従業員を共通基準で育成し、製品の安全管理意識も高める。

"活人主義"貫く永井社長は8代目。

事業理念に「素材に形をいのちを」を掲げ、顧客の声に耳を傾け、ニーズを具現化してきた。同時に従業員にいきいきと働ける場を提供し、自主的なスキル向上と技能伝承を促す"活人主義"を貫いていることが、顧客サービスにつながっている。
 
かつて鋳物職人は「御鋳物師」として尊敬されていた。それが、いつしか3K(きつい、汚い、危険)職場と言われるようになった。永井社長は「鋳物業が街の中心部に戻り、やりがいを求める若者が集う工場のモデルを示したい」と熱い。


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