「不変と革新」

日本濾水機工業

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競合大手に真っ向勝負

創業の原点である素焼き濾過筒「セラポア」を加工

 日本濾水機工業(横浜市南区、橋本祐二社長、045・712・1211)は、2018年に創業100周年を迎える。素焼きの濾過筒の製造方法を開発し、事業をスタートした。当時は研究用として活用し、戦時中は旧陸軍の給水向けに製造した。戦後に厚生省(現厚生労働省)から災害用濾過機に指定され、各都道府県に納めた。

分離技術を追求

 濾過筒「セラポア」を用いた濾過機や水処理装置の製造・販売、用水処理プラントエンジニアリングが事業の柱になっている。濾過機は製薬や飲料、化粧品などのメーカーに採用されている。このうち製薬業界向けが約7割を占める。注射用溶液の精製に使われており、橋本社長は「命に関わるだけに、高精度化の要求が上がっている」と品質のより一層の向上に余念がない。

 12年2月期は売上高18億円。橋本社長は「あれもこれもと規模を追わないことが大事。キーワードである『分離』を踏み外さないように展開している」と、生き残りの秘訣(ひけつ)を明かす。ただ決して保守的な姿勢ではない。競合するのは大手企業。橋本社長は「相手が横綱だからと言って相撲を取りたくないと逃げるわけにはいかない」と真っ向勝負を挑んできた。

海外展開も視野

 強みである分離技術を生かすため、2年前に新分野進出のための経営戦略室を立ち上げた。橋本社長は「分離技術の応用により、水の中から特定した物質を回収できる」と技術力に自信をみせる。海外展開も視野に入れており、ターゲットにする国・地域を模索している。

 技能伝承の取り組みも着々。ここ数年、25―35歳の若手・中堅を積極的に採用した。10年前は平均年齢が50代だったが、現在は10歳若返った。今年はモノづくりを支えてきた熟練従業員の退職を見越し、若手を中心に5人を採用した。従業員が一丸になって新入社員に技術のイロハを教え込んでいる。

200周年の礎

 81年に社長に就任した橋本社長は現在、71歳。後継者には長女で取締役総務部長兼経営戦略室次長の橋本美奈子さんを内定している。「昔は娘を社長にするとは思ってもいなかった」。橋本社長はこう言うが、橋本取締役は公認会計士の資格を持ち、同社に入社する前は会計事務所で働く傍ら、経済産業省に出向した経験もある。

 この実力を見込んでの内定だ。一方、橋本取締役は「あっという間に100周年を迎える。私の役割は200周年を迎える企業にするための礎を築くこと」と将来像を描く。


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