「不変と革新」

昭和鉄工

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ボイラ核に事業多角化

明治天皇の特別列車に備えられた放熱器

蓄積した技術

 2011年夏、世界中から注目された東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業現場に昭和鉄工のクーラーがあった。配管工事不要の独立型という特徴が、急ごしらえの宿舎でも活躍。快適な環境をつくり出し、過酷な現場から解放された作業員の疲れをいやした。暖房機器の開発の歴史で蓄積した空調技術が、大いに生きた。

 昭和鉄工が持つ、熱を制御する技術は今から約130年前に生み出された。同社は1883年(明16)、福岡市で斉藤製作所として創業した。医療用の蒸気消毒器に始まり、その後も熱を用いる技術と鋳造技術を核に病院用暖房装置、鋳鉄製ラジエーター、鋳鉄製ボイラなどの製品を世に送り出している。ドイツや米国などからの輸入品に頼っていた機器を国産化したことは当時、高い評価を受けた。

 1934年に現社名に変更、その後は鋳造技術を生かした装飾鋳物にも参入した。福岡市の中心市街地にある天神地下街の落ち着いたイメージを演出している唐草模様の天井も同社の製品だ。

 意匠性の高い鋳造技術は、ろうを原型に使うロストワックス鋳造に発展。ガスタービンや機械部品など精密鋳造品を製造するようになり、産業用分野への参入を実現した。また橋の欄干や防護柵なども鋳造で製品化、土木業界でも知られる存在となっている。

熱処理装置参入

 98年には熱に関する技術を生かして、産業用熱処理装置事業に乗り出した。プラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)や液晶表示装置(LCD)など、薄型ディスプレー(FPD)の製造に欠かせない熱処理装置を相次いで商品化した。

 ボイラの技術はその後暖房機器へと引き継がれ、現在は先端産業であるFPDの製造装置にまで発展した。幹から枝葉が伸びるように事業の多角化に成功した。

 熱を扱う技術ニーズは今後も衰えそうにない。特に東日本大震災以後は、分散型エネルギーや省エネルギーに対する関心が高まっている。同社の業務用ヒートポンプ式給湯器「エコキュート」の受注は伸び、コジェネレーション(熱電併給)システムも注目されている。

開発意欲健在

 一方、創業時から旺盛な開発意欲も健在だ。高温下で高精度な無線温度センサーの開発につながる素材の研究なども進めている。

 近年はアジアに注目している。「特に寒冷地の中国・東北部に空調機器が売り込めるのではないか。除湿を行うデシカント空調機は、湿度が高い東南アジアに向く」(山本駿一社長)と世界を見据える。


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