「不変と革新」

司牡丹酒造

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5月21日の金環日食に合わせて限定販売する「金環司牡丹」
「牡丹(ぼたん)は百花の王、さらに牡丹の中の司たるべし」―。高知県の酒造会社、司牡丹酒造の「司牡丹」は、明治維新の元勲である田中光顕が命名したブランド名だ。田中は高知県佐川町出身で郷土の酒を愛飲していた。また、昭和初期に高知県初の首相になった浜口雄幸は「芳醇無比」と司牡丹を褒めたたえた書簡を送付。幕末の志士である坂本龍馬も司牡丹を飲んでいたと言われる。司牡丹は「土佐の偉人と縁がある」(竹村昭彦社長)。

理念は「源」

 創業は1603年(慶長8年)。関ケ原の合戦の勲功で山内一豊が土佐へ入国するのに伴い、同家の家老に従ってきた酒屋がルーツとなる。同社の理念を表す言葉は「源」。400年以上の歴史の重みや土佐の偉人とのかかわり、また司牡丹の中興の祖で現社長の曾祖父にあたる竹村源十郎氏を思い起こす言葉となっている。竹村社長は「気持ちの奥底にある言葉で、先人に対して恥ずべき事はできないことを意識する」と語る。

 酒造会社にとって、現在の日本酒を取り巻く環境は決して芳しくない。「人口が減少し、少子高齢化が進む。若い人が日本酒を飲まない」と愛飲人口の減少が著しい。象徴的な出来事が、2010年に放映されたNHKの大河ドラマ「龍馬伝」の際に起こった。放映2年前から龍馬伝にちなんで、日本酒の販促策を展開。売上高は久々に前年度を上回った。ただ中身をみると県外が前年度比20%伸びた半面、県内は同5%減。「ドラマで県内観光客は増えたが日本酒は飲まれなかった」。需要減退に歯止めがかからないことに「今が一番危機的ではないか」と困難を実感する。

"コトづくり"

 こうした状況を打破するため、需要を喚起する"コトづくり"に着手している。例えば5月21日に、太陽が月からはみ出した部分が光の輪になる「金環日食」を観測できるため、それにちなんだ日本酒を限定販売する。酵母は05年に打ち上げられたロケットに搭載されて国際宇宙ステーションに滞在し戻ってきた「宇宙酵母」を使う。「金環日食はゴールドリングとも言われ、プロポーズや愛の告白などにふさわしい。記念の日に『金環司牡丹』を飲んでいただきたい」と歴史的な天体ショーに期待する。

"伝道師に"

 竹村社長は「消費者の求めるものと、日本酒を飲む行為の間にはギャップがある。それを埋める必要がある」と消費者にきっかけを与える重要性を説く。イベントを通じて日本酒に興味を持ってもらい、ファンを増やすことを目指す。「地道にコツコツと積み重ねていく」と日本酒を飲む楽しさを伝える"伝道師"として活動する。

▽所在地=高知県高岡郡佐川町甲1299、tel0889・22・1211
▽社長=竹村昭彦氏
▽従業員=43人(他に季節雇用の蔵人12人)
▽資本金3300万円
▽売上高=7億7000万円(11年9月期)


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