「不変と革新」

NiKKi Fron

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時流に合わせて業態転換

在仏日本大使公邸でのレセプションで高級素材を説明する春日社長(右奥)白さや肌触りに関心が集まった

廃業の危機

 NiKKi Fronの前身である日本機材を設立した春日栄太郎氏が残した言葉に「創業不易守成又難」(そうぎょうふいしゅせいまたなん)がある。創業の難しさと企業を守り続けることの困難さを説いた。現社長の春日秀之氏は「創業から素材にこだわる一方で時流に合わせて柔軟に業態を転換していった」ことが存続につながったと、先達の歩みを振り返る。

 創業者の栄太郎氏は1896年に長野市の善光寺近くに創業した麻問屋の春日商店の2代目。ところが太平洋戦争中に麻が軍事統制物資となり廃業の危機に陥った。家業を救うため上田蚕糸専門学校(現信州大学繊維学部)に入学し、麻と絹を使った「絹麻パッキング」を開発。軍に提案して軍需指定工場となったことが日本機材の設立につながった。

 現在同社は半導体製造装置用フッ素樹脂製品、自動車用ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)製品などを手がける。2011年12月に長野市の本社工場に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製品の一貫工場を完成。航空機、自動車、スマートフォン(多機能携帯電話)向けなどの新市場開拓に力を入れる。

第三の創業

 09年に就任した4代目の春日秀之社長は「第一創業が麻問屋だとすると、戦中から戦後にかけて工業分野に進出したのが第二創業、いまが第三の創業期」と位置づける。そのきっかけはリーマン・ショックだった。

 大幅な受注減に見舞われて「従来の経営手法では生き残れない」と下請け型から自立型企業への脱却を模索した。新素材の研究開発強化とともに、アジアの顧客ニーズに対応するためタイに自動車用GFRP部品工場を開設するなど改革に乗り出した。

高級素材に重点

 現社長が「第三創業のシンボル」と力を入れるのが高級素材のブランド化。同社が開発した特殊樹脂「レアプラ」は蛍石パウダーをブロック状に押し固め、セラミックのように長時間焼き上げて作る。1月に仏パリで行われた世界最高峰の家具・インテリア見本市「メゾン・エ・オブジェ」に初出展し、いま最も注目される新素材に贈られる「ハイライト・マテリアル」に選ばれた。

 在仏日本大使公邸では記念のレセプションが開催され、日本の素材力の高さを示した。変革し続ける老舗素材メーカーの挑戦は続く。

▽所在地=長野市穂保409の2、tel026・296・9031
▽社長=春日秀之氏
▽グループ従業員=300人
▽資本金5000万円
▽売上高=63億円(2011年3月期)


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