「不変と革新」

セラリカNODA

HOME > 「不変と革新」 > セラリカNODA

伝統産業と現代科学融合

産学官の連携で品種改良したハゼの木と野田社長ハゼの木の実から採る木ロウは先端的な分野の製品で活用する

農薬フリー

 「徹底して農薬フリーの原材料にこだわった。」動植物が分泌する天然ロウの精製、ロウ製品の販売を事業展開するセラリカNODA(神奈川県愛川町)は、2012年から農薬フリーのミツロウでできたワックスを業界で初めて発売した。

 ミツロウとはミツバチの巣からはちみつを取った後のロウのこと。食品や化粧品用のワックスに使うため安全性の高い製品が求められる。原産地は農薬を使用していないアフリカだ。
 
 セラリカNODAの野田泰三社長は「新製品は人間だけではなく昆虫にも優しい。アフリカ産のロウを使えば地元の重要な産業になる」と、発展途上国の地域経済や生態系にまで注意を払う。同社は天然ロウの生産を通じて発展途上国の産業振興と環境保護の両立をさせる考えを「セラリカ構想」と名付けて事業を展開。さまざまな可能性を探っている。

 セラリカNODAは江戸時代後期の1832年に創業した。有馬藩(現福岡県)の藩財政立て直しのため、8代目野田家当主の野田常太郎が「野田製蝋」を立ち上げて木ロウを納入したのがきっかけだ。

 ハゼの木の実から採る木ロウはロウソクや鬢付けなどに用いられた。戦前、「ジャパン・ワックス」は有力な輸出商品の一つとなり、その流れにのって同社も成長。戦後は男性整髪料のポマードに木ロウが使われたが、70年代に登場したヘアリキッドなどの液体整髪料により市場を奪われていった。

 当時、野田社長は「将来が見通せない」と落ち込んだが、植物ロウの活用を考える。植物ロウは熱に溶けやすく、そして固まりやすい。この特徴を生かし、コピー機のトナーの添加剤としての使用をコピー機メーカーに提案した。その結果、各社で採用が決まり、主力製品に成長した。

時代の先端

 今では、車や床のワックス、化粧品、チョコレートのコーティング剤などさまざまな分野で使用されている。時代遅れとなりかけた天然ロウが、息を吹き返した。
 セラリカ構想のプロジェクトの一つとして、害虫として悪名高いカイガラムシが分泌する「雪ロウ」を精製して製品化する事業の支援を90年代半ばから中国で展開している。カイガラムシが好むモチの木を数10万本植林し、雪ロウの製品化で地元に産業を興すという仕組みだ。「これまでの虫を『殺す』発想から『生かす』発想に変えていかなくてはいけない」(野田社長)。

「生物産業」

 野田社長は「自然に立脚した伝統的な産業と現代科学が融合することで、21世紀は生物学や遺伝学に基礎を置いた『生物産業』の時代が来る」とみる。天然ロウを通じて、人間と生物との関係を問い直している。

▽所在地=神奈川県愛川町中津7202、tel046・285・1265
▽社長=野田泰三氏
▽従業員=30人
▽資本金4000万円
▽売上高=8億円(2011年3月期)



ページの上へ