「不変と革新」

長寿企業大国

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伝統を守りつつ常に革新

 

過半数が日本

 日本は世界に類をみない長寿企業大国である。帝国データバンクが企業データベースおよびそこに網羅されない小規模企業などに聞き取りを行ったところ、創業100年以上の企業は全国に2万5000社。海外のデータは種々あるが、世界の100年企業の半数以上が日本にあることは間違いなさそうだ。

 昭和初期、「明治は遠くなりにけり」と言われたが、今や明治期創業の企業はほぼすべて100年企業となった(明治は1912年7月29日まで)。さらに今年100周年を迎える企業は1854社と、全体数から見ても際立って多い。明治から大正への元号改元という要素もあったにせよ、『坂の上の雲』を目指した産業勃興期の活力は、現在とは大きく異なる。

 企業経営者の育成という視点から長寿企業を研究する久保田章市法政大学大学院教授は、100年企業は「個人商店などを含めると5万社に上るのでは」と推計する。もちろん持続してこその老舗企業だが、ここへきて100年企業が注目を集める理由として久保田教授は、リーマン・ショック後の経済環境により年々企業継続が難しくなっていることを挙げる。

 1990年代中ごろ以降それまでの日本的経営に代わり世を席巻した米国型経営手法について、今疑問が呈されるようになってきたことにも着目。長寿企業の経営手法から時代に左右されない何かを見いだせないか、ということだろう。

地域への貢献

 長寿企業の経営の特徴を同教授は、「明確な企業理念や経営理念をもち順守している」「長期的な視点に立った経営」「伝統の継承の一方革新に取り組む」「従業員を大切にしている」の4点から分析する。全国各地でヒアリングしたところ「地域社会の発展に貢献する」といった理念を掲げるところが多いという。

 帝国データバンク調査を地域別にみると、創業100年以上の老舗企業数を全企業数で割った老舗輩出率は、京都府、山形県、島根県の順に高い。京都は第2次大戦の被害が少なく伝統工芸も守り育てられてきた地であり、日本海側の各県はかつての北前船の寄港地で、商業や地場産業が発達した歴史がある。

時代に合わせ

 事業の目的を地域への貢献などに置いた場合、事業を継続することが重要となってくる。自然と短期利益よりも長期的な事業継続が優先されることになる。ただし、変化しない伝統を継承していく一方で、「時代に合わせた革新を常に行ってきたからこそ、長寿企業たりえている」とみる。
 しかし、これらの要素は、単に老舗企業であるための条件に限ったことではない。すべての企業にとって指針となるべき点が少なからずある。


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