「不変と革新」

キッコーマン

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"日本の食文化"伝える

 日本の代表的な調味料「しょうゆ」を主力商品とするキッコーマン。だが、同社の海外事業の歴史はすでに半世紀を超え、2017年の株式会社化100周年を前に売上高で過半となることは確実だ。
 海外事業の売上高は年3月期で45%、営業利益では62%に上る。直近の12年3月期第2・四半期でも海外で順調な伸びを示し、北米、欧州だけでなく、中国・インドを含むアジア、さらに南米、アフリカへと新たな市場が広がる。
上海万博に出展した「料亭」では
和服姿の中国女性が活躍

国内伸び悩み

 同社が本格的な国際化戦略に踏み切ったのは57年。原料難を乗り越えた戦後の大きな成長から一転、パン食の普及など食の欧米化で、国内でのしょうゆ需要に深刻な伸び悩みが見えてきたためだ。米国西海岸に販売会社を設立。日本料理向けだけでなく現地の食に合わせた使用法をプロモーションし、73年には現地工場からのしょうゆ出荷にこぎ着け、同年には欧州にも進出した。

「百年の計」

 北米で築いた「販売拠点から浸透を図り現地生産でさらに売り上げを伸ばす」というビジネスモデルを世界で拡大している。「食文化を伝えていくには時間がかかる。世界戦略は百年の計」(堀切功章キッコーマン食品社長)といい、北米、欧州での順調な成長も「まだ二大陸でしかない」(同)とみて、未踏の世界へも視界を広げる。
 17世紀、現在の千葉県野田市でしょうゆ作りをはじめた地場企業は、株式会社化を経て、今や「しょうゆ世界戦略」を掲げるグローバル企業となった。老舗しょうゆ商店から大きく脱皮することができたのは、常にイノベーションを続ける「伝統は革新の積み重ね」(同)という攻めの姿勢があるからだ。
 海外への思い切った進出などだけでなく、米国で「肉料理にしょうゆを」といった新しいレシピを積極的にアピールし続けることも食文化の革新といえる。

もてなしの心

 現地の食文化との融合を目指しながら、日本の食文化も広める。10年の上海万博日本産業館でプロデュースした料亭「紫」では、国内高級料亭などの協力を得て、中国人女性を日本に招いて仲居教育。「日本のもてなしの心が現地客を通じて中国に伝わった」として話題を呼んだ。
 日本のもてなしの心―の海外展開は、雇用や原材料調達を含む経営の現地化を進める方針とも合致する。同社は戦前に大規模な労働争議に揺れた経験から、企業が永続的に成長していくには、社会と共存していかなければならない」(茂木友三郎名誉会長)と学んだ。 海外で、日本の真の食文化を知ってもらうためにも良き企業市民であることが肝要だ。それが、しょうゆを"世界の調味料"に育てる近道と考える。


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