「不変と革新」

神戸製鋼所

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次世代技術がグループ結ぶ

神戸総合技術研究所に移したクスノキと佐藤社長

新製鉄法生む

 神戸製鋼所の経営には多様性がある。1905年に鈴木商店の鉄鋼部門として創業。市場の動きをとらえ顧客がほしいと思う商品を用意する商社にルーツを持つこともあり経営の根幹に据える新技術・新製品には時代を先取りするものが多い。
 その一つとして同社が期待をかけるのが次世代製鉄法「ITmk3(アイ・ティー・マークスリー)」だ。低品位の鉄鉱石を使ってアイアンナゲット(粒状鉄)を短時間で製造し、銑鉄の代用品とする。鉄鉱石の還元にも安価な一般炭を用い、環境負荷も小さい。米国でプラントが稼働し、ベトナムをはじめ世界展開を目指す。ほかにも鉄とアルミの異材溶接や、低燃費・低騒音の油圧ショベルなど同社の技術開発は多岐にわたる。

部門の壁越え

 多面的な発展を目指す一方で、グループの進む方向がバラバラにならないよう束ねることが課題となる。2009年に就任した佐藤廣士社長は社内やグループの壁を取り払おうという意味で「バリアフリー」という言葉を使う。さらに「事業体を結合させるには触媒が必要だ」として、本社とともに研究所にその役割を期待する。次世代の技術が事業部門の壁を越えた新たなビジネスを生み出すからだ。
 1995年の阪神・淡路大震災でその研究所が大きな被害を受けた。既に神戸総合技術研究所(神戸市西区)への研究開発機能の集約が進んでいたが、佐藤社長が20年以上勤務した本社地区の研究所(同中央区)は1階部分が倒壊するなど使用できなくなった。

復興で一丸

 厳しい状況ではあったが、地域社会と歩調を合わせた全社の復旧・復興が同社の研究開発を加速させた。ITmk3の開発・試験は90年代後半に急ピッチで進んだ。研究所と営業部門との連携が新たな技術開発につながり、事業部門同士の結びつきが深まったという。被災した本社地区の旧研究所から現在の神戸総合技術研究所には研究開発陣の思いとともに大きなクスノキが移植された。
 佐藤社長は木が栄養を吸い上げ年々成長していく姿に企業のあり方を重ねる。現在は研究所の有志を募り植樹活動を続けている。そこから育つ芽や花は同社の経営と同じようにさまざまな種類がある。


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